「面談を何件受けても決まらない」「エージェントに登録したのに連絡がない」フリーランスとして活動していると、仕事が思うように獲得できず、不安や焦りを感じる時期が誰にでもあります。来月の収入が見えないプレッシャーは、精神的にも大きな負担となるでしょう。
この記事では、フリーランス案件が決まらない5つの原因を「診断チェックリスト」形式で整理し、それぞれに対応する即効性のある対策を解説します。特に「エージェントを使っても決まらない」「担当者に放置されている」という状況への具体的な打開策もお伝えします。読み終えたあとには、今日から実行できる行動が明確になっているはずです。
「案件が決まらない…」のはあなただけじゃない
フリーランスとして案件が決まらない状況は、想像以上に精神的な消耗を伴います。「自分には能力がないのでは」「このまま仕事がなくなるのでは」と、自己肯定感が揺らいでしまう方も少なくありません。
ただ、この悩みはあなただけのものではありません。X(旧Twitter)やクチコミサイトを見ると、同じ状況を経験しているフリーランスは数多く存在します。
「3ヶ月間、1件も案件が決まらなかった」「エージェントに登録したのに、担当者から一度も連絡が来ない」こうした声は珍しくありません。むしろ、フリーランスとして活動する以上、仕事が途切れる時期は誰にでも訪れる可能性があります。
まずは、「決まらない」ことを自分だけの問題として抱え込まないでください。この記事を通じて、原因を客観的に分析し、具体的な対策を一緒に考えていきましょう。
なぜ? フリーランス案件が決まらない「5大原因」診断チェックリスト
案件が決まらない理由は一つではありません。多くの場合、複数の要因が重なり合っています。ここでは代表的な5つの原因を整理しますので、自分に当てはまるものがないか確認してみてください。
原因1:利用中の「エージェント」の問題(担当ガチャ・放置)
フリーランスエージェントに登録しても案件が決まらない場合、エージェント側に問題があるケースが少なくありません。
具体的には、以下のような状況が該当します。
- 担当者からのレスポンスが極端に遅い
- 登録後、ほとんど連絡がない(いわゆる「放置」状態)
- 希望条件を伝えても「紹介できる案件がない」と言われる
- 面談の機会をほとんど設けてもらえない
エージェントの担当者にも当然ながら個人差があります。担当者との相性が悪い、あるいは担当者自身が多忙で手が回っていない可能性も考えられます。エージェントを利用しているのに進展がない場合は、まずこの原因を疑ってみてください。
原因2:「スキルシート・ポートフォリオ」の問題
案件獲得において、スキルシートとポートフォリオは企業があなたを判断する最初の材料です。ここに問題があると、書類選考の段階で落とされてしまいます。
よくあるNG例として、以下のパターンが挙げられます。
- 経験した業務の羅列だけで、具体的な成果や数値がない
- 使用した技術やスキルの記載が曖昧
- ポートフォリオの内容が古い、または作品数が少なすぎる
- クライアントが求める情報と記載内容がずれている
「何ができるか」だけでなく「何を達成したか」を明確に示すことが、案件獲得への近道です。
原因3:「スキル・経験」の問題(市場とのミスマッチ)
自分のスキルセットが、現在の市場ニーズと合っていない可能性もあります。
フリーランス市場では「実務経験2年以上」を条件とする案件が多く、経験が浅い場合は選択肢が限られます。また、技術トレンドの変化により、以前は需要のあったスキルが現在は求められなくなっているケースもあります。
エンジニアであれば、使用言語やフレームワークが市場で求められているものかどうかを確認してみてください。Web制作やデザインの分野でも、最新のツールや手法への対応が求められる場面は増えています。
原因4:「希望条件」の問題(単価・リモート)
希望する条件が市場の相場と大きくかけ離れていると、紹介される案件自体が少なくなります。
特に多いのが、以下のケースです。
- 希望単価が経験値に対して高すぎる
- フルリモート案件のみに限定している
- 勤務時間や稼働日数の条件が厳しい
- 特定の業界や企業規模にこだわりすぎている
条件にこだわりを持つこと自体は悪いことではありません。ただし、その条件が案件獲得を妨げている可能性があるなら、一度見直す必要があります。
原因5:「外部要因」の問題(景気・年齢)
自分の努力だけではコントロールできない外部要因も存在します。
景気後退期には企業の外注予算が削減され、フリーランスへの発注自体が減少します。また、業界や職種によっては、40代以降になると案件の選択肢が狭まる傾向も見られます。
外部要因は自分では変えられませんが、その現実を認識したうえで対策を講じることは可能です。
今すぐ実行すべき「即効性のある対策」ToDoリスト
原因を特定したら、次は具体的な対策に移りましょう。ここでは、すぐに実行できるアクションを紹介します。
対策1:スキルシート・ポートフォリオの「徹底的な見直し」
スキルシートとポートフォリオの改善は、最も即効性のある対策の一つです。
まず、スキルシートについては以下の点を確認してください。
- 経験した業務内容を具体的に記載しているか
- 成果を数値化できているか(例:「売上20%向上に貢献」「開発期間を1ヶ月短縮」)
- 使用した技術・ツール・言語を明確にリストアップしているか
- クライアント企業が知りたい情報(規模感、担当範囲、役割)が含まれているか
ポートフォリオについては、作品の質と説明の充実度がポイントです。制作物を並べるだけでなく、「どのような課題に対して、どのような解決策を提案し、どのような結果を得たか」というプロセスを示すことで、企業への訴求力が高まります。
対策2:希望条件の「一時的な緩和」
案件がなかなか決まらない時期には、希望条件を一時的に緩和することも検討してください。
特に効果が大きいのは、以下の調整です。
- 希望単価を相場に合わせて調整する
- リモートワークへのこだわりを緩め、常駐案件も視野に入れる
- 稼働時間や日数の条件を柔軟にする
- 業界や企業規模の幅を広げる
「単価を下げる」ことに抵抗を感じる方も多いでしょう。ただし、実績を積み重ねることで、次の案件では希望条件を通しやすくなります。まずは実績作成を優先する、という考え方も一つの戦略です。
対策3:面談対策の強化(「落ちる」理由を潰す)
業務委託の面談で落ちることは、決して珍しくありません。書類選考を通過しても、面談で不採用となるケースは多く存在します。
面談で不採用となる主な理由として、以下が挙げられます。
- コミュニケーションがスムーズでない(質問に対する回答が的外れ、説明が冗長)
- 案件への意欲や熱意が伝わらない
- 自分のスキルや経験をうまくアピールできていない
- 企業側の課題やニーズへの理解が浅い
対策としては、想定される質問への回答を事前に準備することが基本です。また、面談は「選ばれる場」であると同時に「自分が選ぶ場」でもあります。企業側への逆質問を用意しておくことで、対等な立場で会話ができ、好印象につながります。
エージェントで決まらない(放置された)時の「3つの行動」
エージェントに登録しても案件が決まらない、あるいは放置されている——この状況は、実は多くのフリーランスが経験しています。ここでは、そのような状況を打開するための具体的な行動を3つ紹介します。
行動1:今すぐ「担当者の変更」を依頼する
担当者との相性が悪い、あるいは対応に不満がある場合は、担当者の変更を依頼することができます。
「担当を変えてほしい」と伝えることに躊躇する方もいるかもしれません。しかし、エージェント側もあなたに案件を紹介して初めて収益が発生するビジネスモデルです。適切な担当者への変更は、双方にとってメリットがあります。
依頼する際は、感情的にならず、事実ベースで伝えることがポイントです。たとえば「希望条件に合った案件をなかなかご紹介いただけていないため、別の担当者の方にも相談させていただけないでしょうか」といった形で問い合わせてみてください。
行動2:『エージェントの複数登録(併用)』を常識にする
フリーランスエージェントは1社だけに頼るのではなく、複数社に登録して併用することが業界では一般的です。
複数登録のメリットは以下のとおりです。
- 紹介される案件の数が増える
- エージェントごとに得意分野や保有案件が異なるため、選択肢が広がる
- 1社が機能しなくても、他社でカバーできる(リスク分散)
- 市場の相場感や自分の評価を比較できる
「複数登録すると管理が大変では」と感じるかもしれませんが、2〜3社程度であれば十分に対応可能です。むしろ、1社だけに依存するリスクのほうが大きいといえます。
行動3:「乗り換え先」のエージェントを検討する
現在利用しているエージェントで成果が出ていないのであれば、別のエージェントへの乗り換えも選択肢に入れてください。
エージェントによって、得意とする職種や案件の傾向は異なります。たとえば、エンジニア向けに特化したエージェント、Web制作やデザイン案件に強いエージェント、高単価案件を多く扱うエージェントなど、それぞれに特徴があります。
「このエージェントで何度応募しても決まらない」という状況が続くなら、そのエージェントとの相性が良くない可能性があります。別のエージェントに相談することで、状況が改善するケースは少なくありません。
「仕事が途切れた」…不安と「自己肯定感の崩壊」への対処法
フリーランスとして仕事が途切れると、収入面だけでなく、精神的にも大きなダメージを受けます。「自分は無能なのではないか」「フリーランスに向いていなかったのではないか」といった思考に陥りやすくなります。
この不安に対処するためには、まず「仕事がない=自分の価値がない」という思考パターンに気づくことが大切です。案件が決まらない原因は、先述したように複合的なものです。あなたの能力や価値とは直接関係しない外部要因も多く存在します。
仕事が途切れた時期の過ごし方として、以下のアプローチが有効です。
- スキルアップの時間に充てる(新しい技術の習得、資格取得など)
- ポートフォリオの充実に取り組む
- SNSやブログでの情報発信を始める
- フリーランス同士のコミュニティに参加し、孤立を防ぐ
- 人脈を広げるためのイベントや交流会に足を運ぶ
仕事がない時期は、次の案件につなげるための「準備期間」と捉えることで、心理的な負担を軽減できます。
最終手段:案件が本当になければ「会社員への再就職」も視野に入れる
さまざまな対策を講じても状況が改善しない場合、会社員への再就職を検討することも一つの選択肢です。
これは「負け」ではありません。むしろ、安定した収入を得ながらスキルを磨き、再びフリーランスとして独立する準備期間と捉えることができます。実際に、一度会社員に戻ってから再度フリーランスになった方は少なくありません。
会社員として働くことで得られるメリットもあります。
- 安定した収入と社会保険
- 組織の中での経験や人脈
- 最新の技術や業界動向に触れる機会
- スキルシートに書ける新たな実績
フリーランスにこだわり続けることで生活が立ち行かなくなるよりも、一時的に会社員として働きながら態勢を立て直すほうが、長期的には賢明な判断といえるかもしれません。
フリーランス案件が決まらない時(FAQ)
Q. 業務委託の面談で落ちることはありますか?
あります。業務委託だからといって、面談がなかったり、簡単に通過できたりするわけではありません。
クライアント企業は、スキルや経験だけでなく、コミュニケーション能力やプロジェクトへの適性、チームとの相性なども総合的に判断します。スキル面では問題がなくても、面談でのやり取りがスムーズでなければ不採用となることもあります。
面談では、技術的な質問だけでなく、過去の経験や仕事への取り組み方についても聞かれることが多いため、事前の準備が欠かせません。
Q. エージェントに「紹介できる案件がない」と塩対応されました。
この状況は、大きく分けて2つの原因が考えられます。
1つ目は、あなたのスキルや経験が、そのエージェントが保有する案件と合っていないケースです。エージェントによって得意分野や保有案件の傾向は異なりますので、別のエージェントに相談することで状況が変わる可能性があります。
2つ目は、希望条件が厳しすぎるケースです。単価、勤務形態、稼働時間などの条件を見直してみることで、紹介される案件が増えることがあります。
いずれにしても、1社のエージェントの対応だけで判断せず、複数のエージェントを活用することをおすすめします。
Q. 景気が悪くて案件がないのでしょうか?
景気の影響を受けることは事実です。企業が外注コストを削減する局面では、フリーランスへの発注が減少する傾向があります。
ただし、景気のせいだけにしてしまうと、自分でコントロールできる部分の改善がおろそかになります。外部要因は変えられなくても、スキルシートの見直しやポートフォリオの改善、エージェントの併用など、今できることは多くあります。
「景気が悪いから仕方ない」と諦めるのではなく、自分にできる対策を一つずつ実行していくことが、状況を打開する鍵となります。
まとめ
フリーランスとして案件が決まらない状況は、誰にとっても辛いものです。収入の不安に加え、「自分は必要とされていないのではないか」という精神的な苦痛も伴います。
しかし、案件が決まらない原因は特定でき、対策を講じることが可能です。本記事で紹介した内容を振り返ると、以下のポイントが重要になります。
- 原因は「エージェント」「スキルシート・ポートフォリオ」「スキル・経験」「希望条件」「外部要因」の5つに分類できる
- スキルシートとポートフォリオの見直しは、最も即効性のある対策の一つ
- エージェントに放置されたら、担当変更・複数登録・乗り換えを検討する
- 一時的に会社員に戻ることも、戦略的な選択肢として有効
今日からできることは、必ずあります。まずは自分の状況を客観的に診断し、該当する対策から一つずつ実行してみてください。
